日本酒×ITという領域で、「未来に必要な今はないもの」を目指した事業展開を行う。

株式会社Clear CEO 生駒 龍史 様

国内最多のシェア数を誇る日本酒メディア「SAKETIMES」の運営を行う株式会社ClearのCEO、生駒龍史さん。海外からの需要が高まっている日本酒業界への新たな一手として、2016年5月にSAKETIMES英語版をリリースされました。海外に向けて事業展開を始めた生駒さんに、HiNative Trekでの英語学習を始めたきっかけを聞いてみました。

長い歴史を持つ日本酒業界に、100年単位で貢献していくビジネスを展開。

株式会社Clear生駒龍史

生駒さんは自社の新しいサービスとして、SAKETIMES英語版をリリースされたのですね。

はい。 英語版のSAKETIMES では、気運が高まる海外の日本酒マーケットの情報インフラになるメディアを目指しています。

日本酒×ベンチャーというのは珍しい組み合わせですね。

日本酒の文化は千年以上も続いていて、永く続くことが前提です。一方スタートアップって、短い期間でどれだけレバレッジをかけて大きく発展していくかという考えが存在しますよね。僕たちのビジネスは100年単位で日本酒業界に貢献していきたいと思っています。頑張って5年で上場するぞ!というよりは、100年後振り返った時に、自分たちがどれだけ日本酒に貢献できているかを意識しています。

その一方で、自分たちはベンチャーをやってるんだという意識は強いです。

僕にとって、ベンチャーは業界にイノベーションを起こすことが役割だと思っています。なので、常に業界にとって新しい一手になるような、「未来に必要なんだけど今はないもの」をどうやって作って行くかを考えて事業展開をしています。

日本酒という伝統的なプロダクトなので難しいところはありますが、長い目で見つつ、一瞬一瞬をスタートアップのように何かイノベーションを起こせるという考え方を持って行動できればと思います。

日本酒業界に対する新たな試みがSAKETIMESなんですね。その中でなぜ英語版をリリースしようと思ったんですか?

背景として、日本酒の海外への輸出量が上がってきています。前年比で約20%上がっていて、現在140億円ほどのマーケットがあるんですよね。 もちろん国内の日本酒のマーケットに比べればまだまだ小さいですが、伸び始めています。今後は海外でも「日本酒ってどんなものがあるんだろう」、「どうやって飲めばいいんだろう」、「焼酎との違いはなんだろう」などの情報を知っていくフェーズを経てマーケットが拡大していくと思います。

その情報を提供していくのがSAKETIMESなんですね。

そうです。実際に、Googleトレンドを見ても、「sake」というワードの検索ボリュームは増加しているのですが、現在英語で日本酒について知ることができる環境が整っているかというと、まだまだです。その急速に大きくなっている需要をうまく満たせていません。それはもったいない。

もう一つには、メディアで得た情報を酒蔵に還元し、マーケティングのサポートをしようと考えています。どんな記事が、誰に、どのように読まれているかなど、メディア事業を運営しているからこそ得られる情報は大変貴重です。

そういったメディアの強みを活かしたいですね。

日本酒×ITで業界を盛り上げていくということですね。

はい。現在はまだリリースしたばかりなので日本酒についての知識記事が多いのですが、今後は「日本に来たら飲んで欲しい日本酒」や、「ニューヨークで飲めるおいしい日本酒のお店」などの飲食店情報も取り入れたメディアにしていきたいです。 


酒蔵での蔵人経験のある外国人スタッフと、「ネイティブに刺さる」記事を作成する。

株式会社Clear生駒龍史

いつ頃から英語版を始めるつもりだったんですか?


去年の末くらいからですね。 数字としては市場が上がっているのはわかっていたので、何かできないかと思っていました。それと、蔵の方からも「海外に向けて英語で何かやりませんか?」という連絡があったりして、いよいよやるかと。

タイミングが重なったんですね。主にどこの国が日本酒に興味を持っていますか?

今はまだ国内からのアクセスが多いのですが、それを除けば、マーケットが一番大きいのがアメリカになってくるので、アメリカをターゲットにしています。その中でも、特にニューヨークは大きな市場なので、そこをメインとしています。

アメリカをターゲットにするとなると、記事作成はどのように行っているのですか?

大きく分けて二つあって、一つはすでにある日本のSAKETIMESの記事をうちの外国人のチームに翻訳してもらって出しています。もう一つは企画記事です。海外の人に日本酒に興味を持ってもらうために必要な記事を一から考えて作っています。

どちらも初期の執筆は日本人が行い、うちの二名の外国人スタッフに翻訳を行ってもらっています。 彼らは英語ネイティブかつ蔵人経験があるので、日本酒についての細かいニュアンスを英語で伝えることができています。

蔵人経験のある外国人がいるというのは心強いですね。初めから外国人スタッフを起用していたのですか?

最初は翻訳会社に依頼してみました。しかし、一度外国人には見てもらおうと思い、今のチームメンバーに見せたんですけど、”意味は理解できるが全然刺さらない”と言われました。言ってることはわかるけど、全然面白くないし、日本酒を飲んでみたいとは思えない、と。そこでようやく翻訳できる能力と、ローカライズする能力は全く別だと気づきました。

辞書的にわかるってことじゃなくて、「飲みたいな」「魅力的だな」と思ってもらうには、全部の記事に外国人のチームを入れなきゃいけないということがわかりました。そこではもちろんお金も時間も労力もかかったので、一番大変だったポイントですね。

文章として読んでもらう能力って別ですよね。

日本語だって、みんな日本語を書けるんだから、どんな記事だって書けるし読めるんですよ。でも結局、読まれる記事と読まれない記事、面白い記事と面白くない記事に分かれるということは、言葉として意味が通じていれば良いってことではなくて、文章として引き込ませる魅力があるかどうかってことを理解しておかなければいけない、ということが大きな気づきでしたね。 やはりそこが一番難しいと改めて感じました。

自分たちの経験をもとに、PVで戦わないバーティカルメディアの可能性を見出す。

株式会社Clear生駒龍史

SAKETIMESの今後の展望をお聞かせください。

メディアという点では、バーティカルメディアと呼ばれるような専門領域に特化しているメディアの可能性を追っていきたいですね。 ほとんどのメディアにおいて重要視されているのはもちろんPVで、SAKETIMESも順調に伸びていますが、同時に読んでくれた読者のエンゲージメントも重要です。

一例ですが、某有名マルチニュースサイトと僕らが同じお店の記事を書いたんです。僕らは当時30万PVであちらはその100倍以上で。でも、SNSでのシェア数で見ると、僕らの方が多かったんですね。つまり、バーティカルメディアの方が限定されたコンテンツに関しての読者の興味関心、エンゲージメントが高いとうことです。それは即ち、広告効果の高さでもあります。

少なくとも日本酒という領域では僕らの方がリアクションが良いというのはとても大事なことですし、海外進出でも生きてくると思います。 必ずしもPVに依存しない形を追求していければ、メディアという文化においても、健全な発展に繋がるんじゃないかなと思いますね。 


「経営者だからといって勇者じゃなくてもいい。」

株式会社Clear生駒龍史

去年と比べてマインドで変わったことはありますか?

組織としての動きを意識するようになりました。経営者ってドラクエで言うと勇者ポジションですよね、攻撃も回復も魔法も一通りできますよ、みたいな。ただ僕は残念ながら万能型の経営者ではありません。スキル特化型なんですよ。もちろん最低限のことは理解できますが、スキルとしては偏ってると思います。昔は、できないことに対するコンプレックスが強かったんです。特に起業直後は、資料作成が上手いわけでもないし、コードが書けるわけでもない。しかし、売上が上がってきて社員が入ってくるようになると、自分ができなかったことを彼らがやってくれる。全部自分でやる必要はなくて、自分ができることで120%以上の成果を出す。その代わりにできないところは他の人にやって貰えばいいんだ、組織とはそういうものだと気づきました。

自分は自分のまま、できることを極めていけば良いと開き直る。足りないピースを埋めていくように、自分にできないことを自分以上にできる人を探すリクルーティング能力が経営者には必要なんだと気付けたのは、この一年の中では大きく変わったところですね。

HiNative Trekについて

株式会社Clear生駒龍史

生駒さんの英語学習を始めるきっかけは何でしたか?

英語版をリリースするにあたって僕が翻訳することはありません。プロを雇っているので。しかしコミュニケーションとしては必要になってくると思ったんです。海外に足を運ぶこともあるだろうし、その時に通訳の人を連れて行くよりも、自分である程度コミュニケーションをとれた方が吸収できることも多いんだろうなって思っていて。

実際に使う場があるとモチベーションにも繋がりますね。

あとは結構ミーハーな理由で、今このグローバルな社会で英語やっとかんとあかんかなっていうふんわりした意識の高さみたいなところですかね。(笑)

意識の高さ、大事です。(笑)どれくらいの頻度でTrekを使っていますか?

できる課題から手をつけています。 難しいものは辞書使いながら課題を進めていますが、アプリ上で回答を出せそうなものは優先してやってしまいますね。

「伝えること」を目的にした課題によって、使った英語が定着していく。

株式会社Clear生駒龍史

ブラウザー版とアプリ版があるのですが、どちらでやっていますか?

僕はスマホからよりパソコンからですね。スマホだと辞書で調べたりするのが手間なので、パソコンから調べながらやってました。

HiNative Trekでの英語学習はどうですか?

普通の英語学習をやっていて思うのは、単語などがもちろん大事だろうなとは思います。ただ、その単語がすぐに自分に活きるかというと必ずしもそうではない。難しい単語とか「もしかしたら一生使わないかもしれない」となったり。

一方HiNative Trekの場合は、単語ベースや文法ベースではなくて、「言いたいことベース」なんですよね。伝えなきゃいけないっていうアウトプットベースなので、英語を使っているのを実感しやすい。あと毎日課題が来るので、いい意味でプレッシャーがかかります。

自分が使っているのを想像できると定着しやすいですよね。いくつかあるHiNative Trekの特徴のうち、どれが生駒さんに刺さっていますか?

スタートアップに特化してるところがすごく大きいですね。今後は自分のビジネスモデルを海外に広げていかなければいけないと思っていますから。 それと、予約が必要なく非同期でやれるところもいいですね。自分の生活が乱れてくると、朝早い時や帰宅が夜遅い時もあるので、空いた時間に投げておけるのは便利です。

忙しくて時間がとれない方には丁度いいですよね。短期間に集中するので、記憶にもしっかり定着しています。

2016年7月4日 取材
株式会社Clear CEO 生駒 龍史
国内最大級の日本酒メディアSAKETIMESを創業。 読者のエンゲージメントが高く、商品スペックより「ストーリー」に注目した記事展開で酒蔵そのもののファンを増やしています。

SAKETIMES 日本語版
SAKETIMES 英語版

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I always check my teacher's feedback and the day's problem before work. That way, I have the whole day to think about their content. It helps that you can answer from anywhere with even a little free time. Since problems are practical and focused on situations seen in IT startups, I find myself wanting to use the things I've learned each day in the real world.

CEO of Hatena, Inc

Yoshiomi Kurisu